翻訳見積りの項目とポイントを解説
「翻訳会社から翻訳見積りをとると、どういう見積りが出てくるんだろう」
「翻訳の見積りって、どういう項目があってどう読み取ればいいんだろう」
初めて業務で翻訳が必要になった方、翻訳発注担当になった方向けに、翻訳見積りの項目の説明や知っておきたい読み解きポイントをまとめました。
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1. 「翻訳費用」と「翻訳以外の費用」
翻訳会社からの翻訳見積りは大きく「翻訳費用」と「翻訳以外の費用」に分けて記載されています。一般的にはひとくくりで「翻訳」と思われているものでも、見積りにすると「翻訳とそれ以外」という項目に分かれますので、まずはその点を見ていきます。
翻訳費用は単価に注目
日本語の原稿を英語や簡体字中国語に翻訳、のように文字通り翻訳を行うための費用で、下記のように算出されます。
翻訳単価 × 翻訳対象の文字数(ワード数) |
複数の言語に翻訳する場合は、言語ごとに翻訳費用を計上します。 例えば3,000文字の日本語原稿を英語と簡体字中国語に翻訳する場合の翻訳見積は下記のようになります。
日本語→英語(20円/字の場合) | 20円 × 3,000字 = 60,000円 |
---|---|
日本語→簡体字中国語(12.5円/字の場合) | 18円 × 3,000字 = 54,000円 |
翻訳部分の見積合計 | 114,000円 |
※翻訳単価は一例です。
※キャッチコピーなどのクリエイティブな作業が求められる案件では、時間工数換算で見積もる場合があります。
翻訳単価についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
新規文字とリピート文字?
「翻訳対象の文字数」といっても、翻訳会社では単純に文字数を数えているわけではないことをご存じでしょうか。例えば「10,000字」ある原稿でも、実際に翻訳が必要なテキストは「7,000字」だった、という場合もあります。
この点については下記の記事で詳しく説明しています。
翻訳以外の費用の例
翻訳のご相談に含まれる「翻訳以外の業務」としては、例えば下記のようなものがあります。
- 翻訳後の制作業務(ウェブ制作、ドキュメント制作)の費用
- 翻訳原稿作成費用
- 原稿の文字起こし費用
- 翻訳メモリの管理費用
翻訳の前工程として必要になることがあるのが「翻訳原稿作成」や「文字起こし」、後工程として考えられるのが「ウェブ/ドキュメント制作」や「翻訳メモリ管理」ということになります。
これらはお客様のご要望や原稿の状態に応じてお見積りしています。翻訳以外の費用に関しては別の記事で詳しく紹介する予定です。
翻訳の内部校正は翻訳費用に含まれます
なお、翻訳の後工程といっても、翻訳の校正作業は翻訳費用に含まれています。 プロの翻訳者が翻訳した訳文をプロの校正者が校正したものを納品する、というのが翻訳会社の標準的なメニューになっています。
2. 翻訳の「ミニマム費用」とは
翻訳には「ミニマム費用」という考え方があります。日本語原稿の場合は400字、英語原稿の場合は200ワード分の費用をミニマム費用の目安としている翻訳会社が(海外も含めて)多いようです。
例えば「18円/字」の単価設定で「100文字」だけの翻訳をご依頼いただいた場合、「18円 × 100字 = 1,800円」の見積りにはならず、ミニマム費用「18円 × 400字 = 7,200円」のお見積りになるというわけです。
翻訳業務には翻訳コーディネーター、翻訳者、校正者などが関わり、翻訳分量にかかわらず一定の稼働が必要になりますので、最小限必要になる工数としてご理解いただければ幸いです。
3. 日本語から直接翻訳しやすい言語は意外と少ない!?
翻訳の世界的な標準は「英語から各国語へ翻訳」になっており、日本語から直接翻訳しやすい言語は意外と限られています。
英語や中国語(簡体字・繁体字)、韓国語などは、日本語からの翻訳者が十分にいるため日本語から翻訳しやすいのですが、それ以外の言語については「いったん英語への翻訳が完了した後に英語から翻訳する」ことが多くなります。
東欧を含む欧州、ラテンアメリカ、中東、アフリカ、一部アジア地域など、日本語から直接翻訳しにくい言語のほうが主流です。
4. 想定納期を確認
見積りの項目、単価、数量に加えて「納期がどれくらいかかるか」も確認ポイントです。
前述のように「日本語→英語→○○語」のパターンが含まれている場合は、全言語の翻訳が完了してから一度に納品か、前半部分が完了した時点で分割納品、のような対応も考えられますので、担当の翻訳コーディネーターまでご相談ください。
納期短縮には事前予約が効果的
細かい話になりますが、翻訳の工程は下記のように分解することができます。
通常、翻訳者や校正者の予定は1週間程先まで決まっていることが多いため、突然原稿をいただいてもすぐに翻訳にかかれるわけではありません。翻訳コーディネーターが原稿の内容を確認し、対応可能な翻訳者をアサインするための「翻訳手配」の期間が必要になります。
事前に原稿を入稿いただける日時をご連絡いただければ、翻訳者・校正者のスケジュールを事前に確保し、翻訳手配の期間や各工程間を最短で調整することができます。
ご発注が決まりましたら、早めに入稿タイミングをご連絡いただくことで、納期を短縮することができますのでご検討ください。
まとめ
翻訳見積りの確認ポイントをまとめると下記のようになります。まずはこの点を押さえておくことで、複数社の見積を比較するうえでも有効だと思います。
- 各言語の翻訳単価
- ミニマム費用
- 何語からの翻訳か
- 翻訳納期
これらの点も含めて翻訳や多言語の制作について、ご不明な点やご相談があれば、お気軽にお問合せ下さい。
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