京阪中之島線渡辺橋駅のイヌクシュク

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開業祝賀会

2008年1月、私は大阪府庁の知人と会った際、同年10月に開業予定の地下鉄京阪中之島新線の全四駅の壁と天井に、1万平方メートルものカナダ産 レッド・シダーが使用されることを聞きました。このときの会話の中で、カナダ・大阪共催の開業祝賀会のアイデアが生まれました。

新線開業を記念する祝賀会の計画にあたり、私は関西・カナダ間のビジネス界で活躍する知人数名に相談を持ちかけました。ここで、 関西・カナダ間のビジネス界から大阪の皆様に贈り物をすることと、四駅のうちの一つで祝賀会を行うことが決まりました。その後、共同で関西カナダビジネス アソシエーション(KCBA)を組織し、この夢の実現のために動き始めました。イヌイットを代表するアーティストであるビル・ナスガルアク氏に連絡を取 り、新線の駅の一つに永遠に飾るための大型のイヌクシュクのデザインと建造を引き受けてもらえるかどうか打診しました。

 

イヌクシュクは元来、狩猟や道案内のために作られた石の道標または目印です。しかし、今日では人を模した像として芸術的な観点から作ら れています。イヌクシュクには、2本足のものもあれば、カナダのヌナブト準州の旗や紋章に見られるように、足の部分が一つの台座のようになっているものも あります。また、2010年にカナダのバンクーバーで開催された冬季オリンピックでも、イヌクシュクをモチーフにしたマークが採用され、さまざまな場面で 使用されました。

ナスガルアク氏の協力が決まると、KCBAではイヌクシュクを地下鉄渡辺橋駅構内に設置するための資金調達を開始しました。イヌ クシュクの代金やナスガルアク氏をカナダから大阪に招くための費用に充てるための資金です。これについては、大阪市、大阪府、大阪商工会議所、関西日加協 会の皆様をはじめ、新たに京阪電気鉄道株式会社や中之島高速鉄道株式会社の皆様からも多大なるご支援をいただきました。また、新線を建設された大成建設株 式会社の皆様には、2.6メートル、9トンに及ぶイヌクシュクを地上の90段下にある駅構内に運ぶために大変なご尽力を賜りました。

除幕式は2008年10月17日に渡辺橋駅で行われ、大阪市長、大阪府副知事、駐日カナダ大使、京阪電気鉄道株式会社の社長を始 めとして、要職に着かれる多くの方々にご出席いただきました。式は大成功を収め、出席者は150人以上に上りました。イヌクシュクは、カナダと関西の強く 深い友情を示す永遠のシンボルとなったのです。

代表取締役
ボーディン トッド リチャード

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イヌクシュク記念碑 カナダから友情のイヌクシュク