更新日:2023年6月29日
公開日:2021年8月31日

多言語翻訳をご依頼いただくお客様からお預かりする日本語データは、さまざまなアプリケーションで作成されています。中には、翻訳業務と相性のいいアプリケーションとそうでないものがありますが、機能性の問題だけでなく、データ作成時のちょっとしたことが、思わぬコストアップにつながることも。翻訳コストを節約するためのデータ作成のコツとおすすめのアプリケーションをご紹介します。

翻訳費用の長期的なコスト削減のヒント

アイ・ディー・エーでは、多言語翻訳からWEBサイトや印刷物の制作・納品までをワンストップで行い、お客様のさまざまなニーズに対応しています。日本語版の制作段階から関わらせていただくこともあれば、すでにお客様の方で制作された日本語のホームページ、マニュアルやカタログなどの印刷物をもとに多言語化する案件も少なくありません。

当社では、CAT(Computer Assisted Translation)ツールと呼ばれる翻訳作業を支援するソフトウェアを使用して、より精度の高い翻訳を提供するとともに、作業工数の削減、納期の短縮、持続可能なコストダウンのご提案も行っています。

作業効率の良いデータ = コストを抑えられるデータ

そこで重要なのが「業務の効率化」です。CATツールを適切に稼働させることで、作業量や納期、コストなどの大幅なダウンサイジングが可能になりますが、そのためにはお客様からご提供いただく翻訳対象データ、いわゆる「(翻訳)元データ」がカギを握ります。

翻訳原稿の作り方でコストパフォーマンスは大きく変わる

翻訳業務を行うための「元データ」になるものとしては、WordやExcel、PowerPointなどがポピュラーです。

アイ・ディー・エーでは、それらのアプリケーションで作成されたドキュメントをお預かりしてテキスト情報をCATツールに読み込み、作業を進めていきます。これらMicrosoft Office系アプリケーションはCATツールとの互換性があり、翻訳工程は比較的スムーズですが、それでも一筋縄ではいかないこともあります。

見た目重視の「改行」がコストアップにつながることも!?

WordやExcel、PowerPointでの文書作成時に、文の途中で改行を入れてレイアウトを整えることがあると思います。
実はその「不要な改行」が翻訳コストをアップさせる一因にもなり得るのです。

文の途中の改行で文章が分断されてしまうと、翻訳支援ツールを使用した際に、一文すべてをトータルで解析することができません。文が分断されてしまうため翻訳メモリなどの翻訳資産をうまく活用することができず、思わぬコストアップや品質低下につながることがあります。

翻訳用の原稿データを作成するときには文意に関係のないレイアウト目的の改行は避けることをお勧めします。

画像やグラフ内の原稿に文字起こしが必要になることも

画像化された文字やグラフはそのままでは翻訳することができません。翻訳するには画像化された文字をテキストデータとして再入力する必要があり、その作業の工数分コストがかさむ原因となります。

グラフや画像化されたテキストは、PSDやAIといった元データをご提供いただくとスムーズです。

Illustrator形式は翻訳・多言語展開には不向き

WordやExcel、PowerPointなどのアプリケーション以外にも、DTP(デスクトップパブリッシング)アプリケーションで使用されるIllustrator形式のデータを元データとして多言語展開をご依頼いただくことも多いです。 Illustratorは1986年にVer1が開発され、印刷工程との相性がよいという理由で、10年、20年とデータをアップデートしながら使用されているお客様もいらっしゃいます。

日本語のみの媒体を作成する場合、Illustratorのデータ流用を続けることは一定のメリットがあると考えられますが、多言語翻訳を視野に入れた場合、残念ながらあまり有益ではありません。Illustratorは多言語翻訳には欠かせない翻訳支援ツール(CATツール)との互換性がなく、手作業もしくは別のツールを活用して翻訳テキスト抽出を行う必要があるため、時間的にもコスト的にもロスが生じてしまいます。

翻訳・多言語展開にはInDesign形式が有利

アイ・ディー・エーでは、印刷用データやウェブサイトにアップロードして閲覧してもらうためのPDFを作成され(カタログやマニュアルなど)、多言語翻訳を必要とされているお客様に、翻訳支援ツールとの互換性があり、多言語翻訳にも最適なDTPアプリケーションのInDesignの使用をおすすめしています。

IllustratorをInDesignに置き換えることで、長期的なコスト削減も

Illustratorのデータを早期にInDesignに置き換えることで、翻訳に適したデータ作成を実現でき、これまでに要していたコストや時間の大幅削減が可能になります。一時的なコストアップに躊躇される場合もあるかと思いますが、5年先10年先を見据えるとトータル的には経費削減となり得ます。

制作データや翻訳データなど全てのデータは企業にとっての「資産」でもあります。効率的に活用することで、結果的には大きなメリットとなりますので、データ作成や完成データの保守・管理について、ぜひアイ・ディー・エーにご相談ください。

翻訳データを企業の資産として活用するメリットについては、下記の記事で解説しています。