2021年4月30日

多言語のウェブサイトを展開する際に、SEO(検索エンジン対策)としてどのような点に留意すればよいでしょうか。
多くの国や地域で上位のシェアを持つGoogleが「上級者向けSEO」として公開しているドキュメントから、外国語/多言語のウェブサイトのポイントを読み取ってみました。

Googleは多言語サイトのどういった点を評価している?

Googleが「Goolge検索セントラル」に公開しているドキュメントに「多地域、多言語のサイトの管理」に関する記事があります。

上記の記事でいわれているポイントを列挙してみると下記のようになります。

  • 多言語のページをGoogleに知らせる(hreflangの活用)
  • 複数の言語を併記することは避け、ページ単位で言語を分ける
  • 自動翻訳ページは検索エンジンに伝えない
  • ユーザの言語設定で自動的にリダイレクトすることは避ける
  • サイトのターゲット国が明確な場合は指定することができる(地域ターゲティング)
  • そのために、URL構造は国や地域で明確に分けることが重要
  • URL構造はいくつかの方式を要件に応じて使い分ける

それぞれの詳細はGoogleのドキュメントを参照いただくとして、ここでは特に重要になる4つの点について補足してみます。

1) SEOを考慮した多言語ウェブサイトのURL構造とは

URL構造はウェブサイト全体に影響し、サーバ設定やCMSにも関係するため、後から変更しようとすると大変な労力が必要になります。複数の言語でウェブサイトを構築する場合は、国や地域も含めてどういうURLの構造にするかを早い段階で検討しておくことが重要です。

GoogleのドキュメントではURL構造について、推奨する3つの方法と非推奨の1つの方法が紹介されています。その部分を抜粋すると下記のようになります。それぞれのポイントを補足します。

URL構造 URLの例 メリット/デメリット
a) 国別のドメイン
推奨
example.jp(日本)
example.de(ドイツ)
example.sg(シンガポール)
〇地域ターゲティングが明確
〇サーバーの場所に依存しない
〇サイトの分割が簡単
×高価(利用が制限される場合もある)
×より多くのインフラが必要
×ドメイン取得の要件が厳しい(一部)
b) gTLD を使用するサブドメイン
推奨
jp.example.com
de.example.com
sg.example.com
〇設定が簡単
〇地域ターゲティングを使用できる
〇複数の場所のサーバーを使用できる
〇サイトの分割が簡単
×ユーザーは URL のみから地域ターゲティングを認識できない場合がある
c) gTLD を使用するサブディレクトリ
推奨
example.com/jp/
example.com/de/
example.com/sg/
〇設定が簡単
〇地域ターゲティングを使用できる
〇管理しやすい(ホストが同じ)
×ユーザーは URL のみから地域ターゲティングを認識できない場合がある
×サーバーの場所は 1 か所のみ
×サイトの分割が難しい
d) URL パラメータ
非推奨
example.com?loc=jp
example.com?loc=de
example.com?loc=sg
×URL ベースの分割が難しい
×ユーザーは URL のみから地域ターゲティングを認識できない場合がある
×地域ターゲティングを利用できない
e) ファイル名
非推奨
example.com/ja.html
example.com/de.html
example.com/sg.html
Googleのドキュメントには記載はないが、URLパラメータと同じ理由で非推奨になると思われる。

a) 国別のドメインでの多言語サイト運用

国別のドメインとは、例えば日本だと.JP、ドイツだと.DE、シンガポールなら.SGというようにその国を表すドメインです。

.CO.JPなら日本の企業を表し、.AC.DEならドイツの大学を表す、というようにドメインからターゲット国が明確になっています。

上記の表で国別のドメインが「地域ターゲティングが明確」となっているのはこの点を指しています。

また、国別ドメインはそれぞれの国で条件を満たした上でないと取得できない場合もあり、汎用ドメインよりも取得のハードル・取得費用のどちらも高めです。さらに、国ごとにドメインを取得していくと管理するドメインの数も増えていき、それぞれに運用のコストが必要になります。「高価」「要件が厳しい」となっているのはこのためです。

.CO.JPドメインで多言語ウェブサイトを運用する際の注意点

Googleのドキュメントには記載されていませんが、国別ドメインの短所として、「ターゲット国を変更できない」というポイントがあります。

Googleでは後述するサーチコンソールの機能を使って、サイトのターゲット国を指定することができるのですが、国別ドメインだとターゲット国が変更できなくなってしまうのです。例えば .JPドメインは日本を表すことが明確なため、日本以外の国をターゲットに設定することができないというわけです。このため

example.co.jp/
example.co.jp/de/
example.co.jp/sg/

のように.CO.JPドメインのサイト内で言語を分けたとしても、「/de/ 以下はドイツ向け」ということをGoogleに伝えることができません。Googleにドイツ語のページと認識されても、意味としては「日本向けサイトのドイツ語の情報」と認識される可能性が高いです。

.CO.JPドメインで多言語サイトを運用しようとする場合は、この点について検討されることをお勧めしています。

b) サブドメイン方式での多言語ウェブサイトの運用

サブドメインとは、例えば下記の太字の部分です。

www.example.com
jp.example.com
de.example.com
sg.example.com

表にある「gTLD」とは .COM等の汎用ドメインのことで、「gTLD を使用するサブドメイン」とは、(国別ドメインではなく)汎用的なドメインを使い、サブドメインで国や地域を分けて運用する方法ということになります。この方法だと、必要になるドメインは1つの汎用ドメインだけで済みます。

サブドメイン単位でサイトを分割したり別のサーバに設置したりできますので、「サイトの分割が容易」で「複数の場所のサーバを使用できる」というメリットがあります。

サブドメインの設定にはDNSについて確認を

サブドメイン方式は「設定が簡単」となっていますが、サブドメインを増やすにはDNSのゾーン設定を変更する必要があります。DNSの設定変更にはドメイン管理者の方の協力が必要になり、まれに「自由にサブドメインを増やせない」という制限がある場合もあるため、事前に確認しておくことをお勧めしています。

c) サブディレクトリ方式での多言語ウェブサイトの運用

サブディレクトリとは、例えば下記の太字の部分の部分です。1つのウェブサイトの中で、ディレクトリで国/言語を分ける方法です。

www.example.com
www.example.com/jp/
www.example.com/de/
www.example.com/sg/

この方式も国別ドメインでは意味がなく、汎用ドメイン(gTLD)であることがポイントです。DNSの設定変更も不要なため、サブドメイン方式よりも設定は容易です。

この方式のデメリットは、後からサイトを分割しにくいという点があります。
例えば上記の例でドイツ向けの /de/ を独立させてドイツのサーバに設置したいというときに、www.example.com とは別のドメインやサブドメインを用意する必要があり、これが「サイトの分割が難しい」「サーバーの場所は 1 か所のみ」という点になります。

多言語のウェブサイトを構築するときには、上記の3つの推奨方法のメリット/デメリットをベースに、自社の要件や目的、取得済みのドメイン等を考慮して最適なURL構造を検討することになります。

多言語ウェブサイトに適さないURL構造とは

d) URLパラメータ方式

URLパラメータとは、例えば下記のようにURLの ?以降にパラメータをつけて言語を変更する方式です。多言語対応に向いていないCMSを使っているサイト等で今でも見かけることがあります。

www.example.com?loc=jp
www.example.com?loc=de
www.example.com?loc=sg

この方式だと、ドメイン、サブドメイン、サブディレクトリのいずれでも言語を識別することができず、Googleの地域ターゲティングも設定できません。

この方式は検索エンジン対策だけでなく、アクセス解析を行う上でもデメリットばかりが多いため、避けることをお勧めします。

e) ファイル名方式

Googleのドキュメントには記載されていませんが、下記のように多言語対応したページだけファイル名を変更しているサイトもまれに見かけることがあります。この方式もURLパラメータと同じ理由で非推奨になると思われます。

www.example.com/index.html
www.example.com/index_de.html
www.example.com/index_sg.html

言語の併記は問題外!?

URLの構造以前に、1つのページに日本語と英語が併記されているというページを見かけることがありますが、Googleのドキュメントには「原文と訳文を一緒に表示することは避けてください」とあり、この方式も非推奨になっています。

Googleはページ(URL)単位で言語を認識するため、1つのページに複数の言語のコンテンツがあっても、そのページの主要な言語だけが認識され、それ以外の言語のコンテンツは認識されないようです。言語の併記は避け、言語ごとにページを分けることが原則になります。

2) 多言語ウェブサイトのドメイン検討ポイント

ドメインの話は前項の「国別ドメイン」や「汎用ドメイン」でも出てきましたが、URL構造だけではなく、ドメインの持つ意味や、SEO的な視点も検討に加えたほうがよいと思います。

ドメインの持つ意味とは

「.CO.JPなら日本の企業を表し、.AC.DEならドイツの大学を表す」というように、ドメインには国や大まかな用途が定義されているものがあります。

URL構造のことだけを考えると、日本の企業も初めから.COMドメインを使ってもいいわけですが、信頼性という意味でもやはり日本語のサイトは.CO.JPドメインで運用しておきたいところです。

例えばこれから日本に進出する海外企業にとって、その日本現地法人のウェブサイトはやはり.CO.JPドメインが候補になると思います。一方で、その海外企業が日本をグローバル展開のひとつの地域として見ているのであれば、.COMドメインのサブドメインやサブディレクトリで運用することが検討されると思います。海外向けウェブサイトで使用するドメインを検討する際には、この逆パターンを考えてみると参考になるかもしれません。

ドメインはインターネット上での名前や住所になるものですので、仕様や効率だけではなく、ドメインの持つ意味や印象といった点も考慮されることをお勧めしています。

多言語サイトのドメインが検索エンジンの評価に影響する?

これは経験的な部分が大きいのですが、検索エンジンの評価にドメイン名が関係している部分はやはりあると感じています。

Google以外の、特定の地域で大きなシェア持っている検索エンジン(中国のbaidu、ロシアの Yandex等)でその傾向が強く、実際にドメインを変更することでアクセスが改善した事例が複数ありました。

CMSの技術的な制約がある場合も

ウェブサイトをCMS(コンテンツ管理システム)を使って多言語展開する場合、そのCMSの仕様の制約があるかどうかもポイントになります。

あまり多言語展開を考慮されていないCMSの場合、1つのドメインでの運用が前提になっている場合があり、その場合は「国別のドメイン」や「サブドメイン」の方式が使えない、ということになります。

3) hreflangと地域ターゲティング

Googleの多言語・多地域向けガイドでも紹介されているためこの2つは混同される場合も多いのですが、これらは別々の項目です。どちらも多言語のウェブサイトでは重要なポイントですので、整理してみます。

別言語のバージョンを指定する「hreflang」

複数の言語でウェブサイトを展開する際に、「現在表示しているページの別言語版のURLを検索エンジンに伝える」ための設定が hreflang です。Google専用の方法というわけではないので、どの検索エンジンにも効果があると考えられます。一般的にはHTMLの<meta>タグかXMLサイトマップで指定します。

「別言語のページを検索エンジンに伝える」ものですので、少なくとも2つの言語のページがあることが前提になります。日本語だけのサイトや英語だけのサイトにhreflangを設定してもあまり意味はありません。

hreflangの設定は意外と大変!?

例えばコーポレートサイトを日英簡の3言語で展開しているとして、3言語のページツリーが完全に一致しているということは少ないと思います。「このページは日英だけで公開」「このページは簡体字だけで公開」となったときに、それぞれのページで hreflang を正しく設定できていないと逆効果になる可能性も考えられます。

hreflangの設定はシンプルなので導入も容易そうに思えるのですが、実際に複数言語x複数ページのhreflangの設定を行ってみると、非常に手間のかかる仕組みになっていることが痛感できます。hreflangを手動で管理し続けることはかなり困難ですので、エラーなく実装するにはCMSを使用されることをお勧めしています。

Googleサーチコンソールの機能「地域ターゲティング」

地域ターゲティングは、サイトがターゲットとする国をGoogleサーチコンソールから設定するもので、対Google専用の設定になります。以前はインターナショナルターゲティングという名前でしたが、現在は地域ターゲティング(geotargeting)と呼ばれているようです。

具体的な設定は、サーチコンソールの「以前のツールとレポート」→「インターナショナルターゲティング」から行います。ターゲットとする国をプルダウンで選択して設定するのですが、国別のドメイン(.CO.JP等)のサイトではこのプルダウンが表示されず、設定することができません。「国別ドメインで地域ターゲティングが設定できない」というのはこのことを指しています。

プルダウンで選択できるのは国だけなので、「EU向け」や「東南アジア向け」といった地域を設定することはできません。設定できる国は1つだけなので、複数の国をターゲットに設定することはできません。

4) 基本的なSEO対策も重要

多言語ウェブサイト向けのSEOポイントを挙げてきましたが、もちろんその他の一般的なSEO対策項目が必要ないということではありません。つまり

a) ユーザにとって価値のあるコンテンツを多く提供する
b) それを検索エンジンに伝える

というSEOの基本的な考え方は多言語のウェブサイト、外国語のウェブサイトであっても変わらず重要です。

この記事で挙げた項目は主に b) についての項目ですが、その他にも

  • 適切なHTMLマークアップ
  • マルチデバイス対応
  • 常時SSL対応
  • 読み込み速度の向上

などの技術的な項目、適切なキーワード選択などのテクニックはサイトの言語に関わらず、対策しておく必要があります。

多言語コンテンツの質=翻訳の質

そしてSEOで一番重要な a) の「コンテンツの質と量」について。質の高いオリジナルのコンテンツをなるべく多く提供することが重要なのは日本語のSEOと同様ですが、多言語サイトではここに「翻訳の質」が関わってきます。

時間をかけて制作した質の高い日本語のコンテンツでも、多言語展開時の翻訳に問題があっては、外国語のユーザはもちろん、検索エンジンにも正しく内容が伝わりません。Googleが「自動翻訳したページが検索エンジンからクロールされないようにしてください」とガイドに記載しているのもこのためです。現時点の自動翻訳は「読みにくく不自然な翻訳」で、サイトのイメージ低下につながるおそれがある、とされています。

人が翻訳する場合も翻訳の質は様々です。アイ・ディー・エーでは既存の翻訳のチェックをご依頼いただくことも多いのですが、中にはその言語のネイティブが読んでもほとんど意味が理解できない、という場合もあります。その多くは、翻訳が専門ではない方が翻訳されたものでした。

海外向けや多言語でコンテンツを展開する際に、翻訳の質は欠くことのできない要素だと思います。重要なコンテンツであるほど、プロのネイティブの翻訳者による翻訳をお勧めしています。

WEBチーム;堤