更新日:2023年10月10日
公開日:2023年5月22日

今回はアイ・ディー・エーの多言語ウェブ制作チームの標準的な制作ワークフローを紹介しつつ、制作上のポイントや翻訳・多言語対応のポイントについて説明します。

適切な制作ワークフローをとることが制作費用を最適化することにつながりますが、工程の組み方を間違えると不要なコスト増を招くなど、制作費用やお見積りにも影響するポイントになっています。

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アイキャッチ画像:多言語ウェブ制作のワークフローを解説

日本語サイトと多言語サイトの制作工程の違い

標準的な日本語サイトの制作フローと多言語サイトの制作フローを比較すると、例えば下記のようになります。

【標準的な日本語サイトの制作フロー】設計→デザイン→コーディング→CMS構築→テスト・リリース
【標準的な多言語サイトの制作フロー】設計→デザイン→コーディング→翻訳→CMS構築→テスト・リリース

外国語への翻訳という工程が必要になることが大きな違いで、この翻訳工程をどのように調整するかが外国語・多言語のウェブ制作の大きなポイントになります。

実際の制作では、スケジュール的な制約や原稿の準備状況等に応じて上記以外のタイミングで翻訳することもありますが、まずはベストなタイミングとして上記をご提案しています。以下、多言語ウェブサイト制作のワークフローを4つのポイントで説明します。

1. 翻訳開始までに日本語をFIXすること

翻訳を伴うウェブ制作では、翻訳を開始する前に日本語原稿が校了していることが非常に重要です。翻訳開始後に日本語原稿が変更になると、その変更分の追加翻訳期間や費用が必要になるためです。日本語原稿が完全にFIXする前に翻訳を進めることは制作費用増につながるため、避けた方がよいと思います。

日本語のウェブ制作では公開の直前まで文章を調整することもありますが、多言語・外国語のウェブ制作では原稿の締め切りは日本語ウェブ制作よりかなり手前になるとお考え下さい。

2. 翻訳を開始するタイミングはどこがベスト?

翻訳を開始する最適なタイミングは、HTMLコーディングが完了し、CMSにコンテンツを投入する前をお勧めしています。これにはいくつかの理由があります。

ウェブブラウザでの表示チェックができる

WordやExcelの状態で翻訳をチェックするよりも、翻訳した外国語を反映したページを実際にウェブブラウザで表示してチェックするのが望ましいです。文字だけのチェックでは気が付かなかったポイントも、実際にページで表示すると気づくことも多いです。

翻訳することでテキストの文字数も変わります。レイアウトやデザインに問題がでていないか、翻訳を修正するならどの程度の文字数が望ましいか等、実際に表示を確認できるメリットは大きいです。

仮にWordやExcelの状態で翻訳したとしても、それをHTMLに反映した後で表示チェックすることになりますので、工程の最適化・コストダウンという意味でもこのタイミングが最適と思います。

HTMLの直接翻訳による効率と精度の向上

翻訳した外国語をウェブページに反映する作業は、単純な「コピー&ペースト」で行うと思われていることが多いのですが、アイ・ディー・エーでは「HTMLを直接翻訳する」ことが可能です。

WEB制作会社様向けHTML翻訳

翻訳者の翻訳を直接HTMLに反映しますのでコピー&ペースト作業は不要となり、作業ミスもなくなるため、作業効率と精度を大きく向上することができます。

翻訳前のコンテンツを先にCMSに投入してしまうと、下記のように同じコンテンツを2回編集することになるため、工程の無駄を省き費用削減という観点からも、このタイミングでの翻訳をお勧めしています。

  • 翻訳前のコンテンツをCMSに登録
  • そのコンテンツの言語を置き換えて再登録

3. 「何語からの翻訳になるか」にも注意

例えばホテルのウェブサイトの多言語対応では、訪日外国人観光客の割合の多い「英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語」の4言語に対応することが多いです。これらの言語は日本語から翻訳することが可能ですので、日本語原稿が確定したら4言語の翻訳を一斉に進めることができます

一方、ドイツ語やフランス語などのヨーロッパ言語、一部のアジア言語では英語からの翻訳が一般的です(例外もあります)。これは世界の翻訳の中心言語が英語なので、英語から各国語への翻訳者の数が圧倒的に多いためです。言語構造の近い英語から翻訳したほうが翻訳品質も良好な場合が多い、という側面もあります。

4. 複数言語翻訳のスケジュール管理

例えば英語とフランス語のウェブサイトを制作する場合、フランス語の翻訳は英語への翻訳が完了した後に開始することになります。このためトータルの翻訳期間は約2倍になり、後工程にも大きく影響してきます。

英語の翻訳完了後に英語→フランス語の翻訳がスタートする

また、翻訳後の文章を顧客側でどのようにチェックするかもスケジュールに影響する要素になります。現地法人でのチェックが予定されている場合は、チェック期間を長めにとる等の調整も必要になるでしょう。言語ごとにチェックに要する期間が大きく異なることも多いです。複数言語に翻訳する場合には、各言語の翻訳手順や期間を把握した上で、適切なスケジュール管理を行うことがポイントになります。

まとめ:展開言語や顧客側の状況に合わせた最適な工程を取ること

多言語・外国語サイトの制作では日本語でのウェブサイト制作の注意点に加えて、対象の言語や数、顧客ごとの状況や要望に応じて最適な工程を取ることがスケジュール通りの進行・制作費用の削減につながります

今回は翻訳工程については具体的には触れていませんが、

  • どの翻訳者をアサインするのが最適かの判断
  • 翻訳管理システム(TMS)による翻訳プロジェクト管理と効率化
  • 校正者による翻訳校正と品質管理
  • 翻訳資産を再利用して費用を削減する各種取り組み

など、翻訳工程だけでも多くのポイントが存在します。

アイ・ディー・エーでは社内に翻訳部門とウェブ制作部門があるため、お客様からは翻訳と制作を区別することなく、まとめてご依頼いただけることもメリットと考えています。

外国語・多言語のウェブ制作に関するご質問やお困りごとがあれば、お気軽にお問い合わせください。多言語ウェブ制作専門チームのディレクターが、最適なソリューションをご提案いたします。

WEBチーム:堤

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