サイト自動翻訳ツールの検討時に知っておきたい「翻訳」と「反映」機能の違い

多言語サイトに関するお問い合わせで、よく下記のような声をいただきます。
- 「WOVNなどの自動翻訳ツールを導入して、手間なくサイトを多言語化したい」
- 「でも、機械翻訳にかけっぱなしだと誤訳の不安がある」
これはおそらく「自動翻訳ツール」=「機械翻訳・AI翻訳の自動反映」というイメージが強くある方が多いのだと思います。
自動翻訳ツールは機械翻訳だけではない
実際にはWOVN(ウォーヴン)のようなウェブサイト自動翻訳ツールでは、複数の選択肢が用意されていて、自社の要望に沿った翻訳手法を採ることができます。
- Google翻訳やDeepLなどの機械翻訳
- 自社で翻訳
- 翻訳会社によるプロの翻訳
今回は、翻訳手法の違いやメリット、使い分けのポイントから多言語サイト運営の効率化についてご紹介します。
翻訳手法の使い分け
主な翻訳手法とその特徴をまとめると下記のようになります。
機械翻訳
例えばWOVNではGoogle翻訳やDeepLといった機械翻訳エンジンが標準で使用できます。これらを使って自動翻訳する設定にしておけば、日本語原文が更新されると自動的に多言語ページに翻訳が反映されます。
翻訳のスピードは一番ですが、誤訳や不適切な表現の可能性があるため、人によるチェックが欠かせません
人力翻訳
翻訳を自分たちで行ったり、翻訳会社に翻訳を依頼することも可能です。1文ごとに翻訳を設定することができるので、例えば標準では利用できないChatGPTなどの生成AIの訳文を登録することもできます。
ポストエディット
機械翻訳の訳文をプロの翻訳者が編集して誤訳や品質アップを図る「ポストエディット」という手法も存在します。機械翻訳とプロの翻訳のメリットを活かした方法です。ポストエディットについて詳しく知りたい方は下記の記事を参照ください。
翻訳会社に依頼
人力翻訳では1文ずつ訳文を入力する必要がありますが、まとまった分量をエクスポートして翻訳会社に翻訳やポストエディットを依頼し、結果をまとめてインポートすることで一括で翻訳を反映する方法も用意されています。
外部の翻訳会社に依頼できるということは、プロ翻訳者の品質かつ過去の翻訳資産を活用してコストを削減したり、紙媒体などウェブ以外で翻訳したデータを流用するなど、自動翻訳ツールの機能に縛られずに各種翻訳ソリューションを活用できるということでもあります。
自動翻訳ツールは「翻訳をページに自動反映してくれる」
WOVNなどの自動翻訳ツールの最大のメリットは、そうして翻訳された各言語の訳文を「自動で外国語ページに反映して表示してくれる」ことにあります。
人の作業が不要になることで、外国語ページ作成の費用と時間が大幅に削減することができます。
自動翻訳ツールの費用体系では「月間〇〇文字の反映まで××円」という点がプラン設定に影響することからも、この特色がわかります。
自動翻訳ツールを使わずに、翻訳と反映を効率化できる?
非常に便利な自動翻訳ツールですが、
- システム利用料として固定費用が必要になる
- 基本的に「日本語サイトのミラーサイト」としての多言語対応が前提になる
という制約があるため、どんな多言語サイトにもお勧めできるわけではありません。
自動翻訳ツール以外に翻訳と反映を効率化する多言語サイト向けソリューションをいくつかご紹介します。
CMSの翻訳管理機能
CMSにWordPressを使用する場合、翻訳管理機能を持つ多言語対応プラグインを使うという選択肢が存在します。
Google翻訳やDeepL翻訳の自動反映や、人力翻訳にも対応し、翻訳データのエクスポート/インポートで翻訳会社とも連動可能な非常に強力な多言語対応機能を、システム利用料なしで利用することができます。
WordPress+多言語プラグインの導入事例インタビュー
HTML直接翻訳
プロの翻訳者の翻訳をHTMLに直接反映する「HTML直接翻訳」という方法も存在します。コーディング済みのHTMLを入稿し、納品データとしてデバイステキストを翻訳したHTMLを受け取ることができます。
- 翻訳管理に対応していないCMSでも、翻訳したHTMLを登録することで多言語対応可能に
- 静的な小規模サイトや海外向けランディングページなど、自動翻訳ツールの導入が難しいサイトに
- 海外向けに独自デザインで展開したい場合に
多言語化手法のケース別お勧めパターン
ここまでに紹介したツールや手法のケース別お勧めパターンをまとめると下記のようになります。
パターン1: 大規模な多言語サイトを運営する企業
おすすめ手法 | 理由 |
---|---|
自動翻訳ツール(WOVN等) | 多言語対応の言語数・ページ数が多く更新も頻繁になる大規模サイトでは自動翻訳ツールによる自動反映のメリットが大きい。機械翻訳をベースに重要コンテンツにはプロの翻訳を使用するなど、翻訳品質に対する自社の要求レベルに応じた使い分けが可能。 |
パターン2: 中規模サイトの多言語化
おすすめ手法 | 理由 |
---|---|
WordPress+多言語プラグイン、HTML直接翻訳 | サイトの規模が大きくなく、自動翻訳ツールの固定費とメリットが釣り合わない場合は、WordPressのプラグインでコストを抑えて構築。HTML直接翻訳も組み合わせて、制作コストをさらに削減することも。自社の要求レベルに応じて翻訳手法の使い分けが可能。 |
パターン3: 海外向けランディングページ、小規模サイト
おすすめ手法 | 理由 |
---|---|
HTML直接翻訳 | 海外向けに独自デザインページを作成する場合は、HTML直接翻訳が有効。デザイン・コーディングと一貫したフローで翻訳まで行えるため、短期間でページを公開可能 |
まとめ:「翻訳」と「反映」の方法を検討することが、最適な多言語サイト運用の近道に
多言語サイトの制作や運用では、「翻訳の質」と「反映・運用の効率性」の両方が成功の鍵となります。
翻訳の質については、自動翻訳ツールでもその他の手法でも、機械翻訳からプロの翻訳まで、求める品質に応じた方法を選択することができます。
反映・運用の効率性については、前述の「ケース別お勧めパターン」や、下記のポイントをベースに検討することで最適な方法を選ぶことができると思います。
- サイト規模と更新の頻度
- 対応したい言語の数
- 翻訳品質への自社の要求レベル
- 社内のWeb更新体制や運用フロー
もし検討に迷う部分や不明な点があれば、ぜひアイ・ディー・エーにご相談ください。貴社のWebサイト構成や運用体制、対象言語や目的に合わせて、最適な翻訳手法と反映方式をご提案いたします。
「WOVNなどのツールを使った運用ってどうなの?」「重要ページだけはプロの翻訳で運用したい」など、まだ具体的な構想が固まっていなくても構いませんので、お気軽にご相談ください。
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