失敗しない多言語サイト制作会社の選び方 5つのポイント


外国語、多言語のウェブサイトの制作を検討するときに、どこに制作を依頼するかで悩んだというお話をお客様からうかがうことがあります。日本語サイトなら情報も多いのですが、多言語となると情報も少なく何をポイントに選べばよいかわからなかったそうです。
今回は多言語サイト制作の依頼先を選ぶ際に役立つ5つの重要ポイントをご紹介します。
目次
多言語サイトとは
多言語サイトとは、1言語または複数の外国語に対応したウェブサイトのことです。主に海外のユーザに向けて英語や中国語、スペイン語など、ターゲットとする地域の言語で情報を発信することで、自社の製品やサービス、企業情報を世界中のユーザーに届けることができます。
多言語サイトの重要性
ビジネスの海外展開の第一歩として、展開を加速するウェブマーケティングの基盤として、多言語サイトの重要性は高まっています。
多言語サイトの制作会社選びは難しい?
多言語サイトの制作には、翻訳とウェブ制作の両方のスキルとノウハウが必要となるため、日本語のウェブ制作会社を選ぶときよりも難しく感じられるかもしれません。
ただ、いくつかのポイントを押さえることで、自社の要望に沿った制作会社と出会える確率を上げられると思います。
多言語サイト制作会社を選ぶポイント
多言語サイトの制作を依頼する制作会社を選ぶ際のポイントとして、例えば下記が考えられます。
今回はこれらを5つに整理して解説します。
- 社内に翻訳とウェブ制作、両方の機能があること
- 対応言語と制作実績
- 翻訳者のスキル・経験
- 翻訳の品質チェック・校正の体制
- 翻訳・制作コストの透明性
- 機械翻訳の活用の可能性
- 制作だけでなく運用フェーズも任せられること
1. 翻訳とウェブ制作、両方のノウハウがあること
多言語ウェブ制作では翻訳とウェブ制作という異なる専門分野のノウハウが必要になりますので、その両方を持った制作会社を選ぶことが重要です。
「翻訳を外部委託するウェブ制作会社」や「ウェブ制作を外部委託する翻訳会社」だと、どうしても費用や納期が余分にかかります。また窓口担当者が翻訳かウェブ制作どちらかの知識しか持っていないため、効果的な提案ができなかったり、場合によっては初歩的な対応もれがあったりと、進行管理にもデメリットがあります。
翻訳もウェブも社内で対応できる会社がベスト
外国語のサイト制作の現場では、翻訳部門とウェブ制作部門が密接に連携することが品質向上につながります。「翻訳もウェブ制作も社内で対応できる」会社であれば、多言語サイト制作のすべての工程について最適な対応ができると思います。
2. 対応言語と制作実績
対応可能な言語と制作実績を確認しておくことも重要です。
例えば翻訳会社の中でも医療分野や特許分野を専門とする会社があり、得意とする分野は様々です。自社のビジネスや製品・サービスに関連する翻訳・制作の実績があることが望ましいです。
対応言語について、例えば英語・ヨーロッパ言語を専門にしている翻訳会社にアジア言語の翻訳を依頼しても、あまり良い結果は得られないかもしれません。対応している言語や専門分野は事前に確認しておきましょう。
3. 高品質翻訳から機械翻訳まで、様々な翻訳レベルに対応できること
翻訳の質=外国語コンテンツの質
日本語のウェブサイト制作と多言語サイト制作の大きな違いは、翻訳の工程があることです。翻訳の品質が外国語としてのコンテンツ品質に直結します。
ウェブサイトの訪問者は、そのページを読むかどうかを数秒で判断すると言われていて、海外ではより顕著な傾向があります。外国語ネイティブが読んで少しでも違和感を感じると、サイトから離脱されるだけでなく自社の印象にもマイナスのイメージがつきかねません。
外国語ネイティブに正確かつ自然に自社のメッセージを届けるためには、翻訳の品質は非常に重要になります。
翻訳者のスキルと翻訳チェック体制
高品質な翻訳を行うには、スキルの高いプロの翻訳者であることはもちろん、その製品や業界に関する専門知識を持つ翻訳者を起用する仕組みがあることが重要です。翻訳チェックや校正のプロセスも必須になるため、社内に校正部門があるかどうかも選定ポイントになります。
翻訳者の力量や品質管理を含む翻訳ワークフローについての国際規格 ISO17100 の認証を持つかどうかを選定基準にすることも有用です。
機械翻訳・AI翻訳の活用
一方、近年急速に進歩している機械翻訳やAI翻訳を活用することで翻訳のコストを抑えたい、という需要も拡大しています。翻訳会社でもそうした取り組みが進んでおり、求められる品質と費用のバランスに応じたメニューを持つ会社が増えています。
機械翻訳は依然として完璧ではなく、誤訳や不適切な表現が含まれることを前提にする必要があります。機械翻訳の結果をプロの翻訳者が確認して誤訳や表現をブラッシュアップする「ポストエディット」と呼ばれる手法の活用が広まっています。複数の翻訳手法をコンテンツの重要度に応じて使い分けることで、多言語サイト制作の選択肢が広がります。
機械翻訳をそのまま使用するのはポリシー違反
機械翻訳にかけたページをノーチェックで公開することはGoogleのポリシーでNGになっていることをご存知でしょうか。Googleのポリシー文書にはスパム行為に該当するものとして下記の記述があります。
自動ツールで翻訳されたテキストが、人間によるチェックや編集を経ずに公開されたもの
機械翻訳を使用する場合は必ず人によるチェックを行い、コンテンツの品質を確認することが求められています。やむを得ず機械翻訳をそのままサイトに使用する場合は、noindex や robots.txt を使用してそれらのページをGoogle検索の対象外とする必要があります。
検索エンジンからの流入が重要になるコーポレートサイトやサービスサイトで機械翻訳を使用する場合は、人によるチェック体制がどうなっているかも確認してください。
4. 翻訳・制作コストの透明性
多言語サイト制作では翻訳とウェブ制作の費用が必要になります。予算を立てるためにも、まずは無料見積り相談等で概算費用を確認することが有用です。どの項目にどれくらいの費用が必要になるかを確認し、不明点は質問しましょう。それについてわかりやすい説明があり、見積りの想定や他の選択肢について適切なアドバイスが得られる制作会社であれば、費用の透明性も確保できると思います。
具体的には、以下のようなポイントを確認することをお勧めします。
- 翻訳費の単価と数量
- 翻訳のレベル、ネイティブの確認が含まれているか
- 制作対象ページの分量や制作想定
- テキストを含む画像の作成も含まれているか
- CMSがある場合その関連作業も含むかどうか
- サーバ・ドメイン・SSL等のインフラ費用
翻訳の費用は対象文字数に注意
翻訳の費用は基本的に「翻訳単価 x 文字数」で算出します。
翻訳単価:原稿の専門性や翻訳レベルで変動。言語ごとに異なる
文字数:翻訳対象ページ数や、ページのどの部分を対象とするかで変動
翻訳レベルが同じであれば、翻訳会社によって翻訳単価が大きく異なるということはありません。
一方、文字数についてはウェブ制作のノウハウの有無で大きく差が出る場合があります。この点については下記のポイントを確認することをお勧めします。
- 対象URLの一覧や想定サイトマップが見積もりの補足資料として添付されているか
- 全ページに含まれるヘッダ・フッタのテキストは適切に除外されているか
- CMS等で同じテキストを各所で流用している場合、それらが適切に除外されているか
- <title>タグやmeta description、画像のaltが対象に含まれているか
- 組織図やチャート図など、文字を含む画像が対象に含まれているか
5. 制作だけでなく運用フェーズも任せられること
ウェブサイトは完成してからが本番で、サイトの目的を達成するために継続的な更新や改修が欠かせません。
運用フェーズでは新規ページの制作だけでなく、既存ページの更新も多く発生します。その分量もごく少量のものから規模の大きな改修まで様々で、公開までの期間が短い場合もあります。それらに柔軟に対応できるところが望ましいと思います。
多言語サイトの運用フェーズを任せられるかについては、下記の点を参考にしてください。
- 多言語サイトを展開している全ての言語で柔軟な対応が可能か
- 少量の翻訳・制作でも対応可能か。可能な場合のミニマム費用は
- 日本語ページを自社で更新したら、多言語版の更新を任せてしまえる体制は可能か
- サイトのアクセス状況やSEO状況を把握し改善の提案が可能か
- 急な更新が必要になったとき、翻訳も含めて特急対応が可能か
まとめ:海外展開のパートナー探し
多言語サイト制作会社の選び方のポイントをまとめると下記のようになります。
- 翻訳とウェブ制作、両方のノウハウがあること
- 対応言語と制作実績
- 高品質翻訳から機械翻訳まで、様々な翻訳レベルに対応できること
- 翻訳・制作コストの透明性
- 制作だけでなく運用フェーズも任せられること
ビジネスの海外展開において、多言語サイトは情報発信やウェブマーケティングの基盤として欠かせない存在になっています。そのため、制作会社選びも慎重に行い、自社のニーズや課題にあったパートナーを見つけることが重要になります。
海外展開を成功させるために、多言語サイトを通じてマーケティングやプロモーションを進めるパートナー選びとして参考にしていただけると幸いです。
WEBチーム:堤
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