更新日:2023年10月10日
公開日:2023年6月6日

ウェブサイトの多言語展開を検討するとき、費用の問題は避けて通れないと思います。展開したい言語の希望はいろいろあるが、費用の問題で展開言語を減らさざるを得ない、ということもよくあります。

今回は多言語ウェブサイトの制作費用削減につながる3つのポイントと、実際の展開例をまとめてみました。

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1. 海外向けに展開するページを見直す

外国語のウェブサイトを制作するときに必要になる翻訳の費用は、文字数に応じて増えていきます。制作ページ数が増えると文字数も増え、翻訳費用や制作・チェックの費用も増大するため、まずこの点から見直すのがよいと思います。

日本語のサイトでも制作するページが増えると制作費用も増大しますが、外国語のサイト制作、特に複数言語で展開する多言語サイトでは、その傾向がより強くなります。

多言語化の対象外とすることが多いページ

海外向けの対象ページから外すことの多い主なコンテンツは下記のようなものがあります。

  • 海外展開しない事業やサービスに関するページ
  • IR情報(英語のみに展開する場合が多い)
  • 採用情報(海外現地での採用予定がなければ)
  • 過去の古いニュース
  • 日本国内向けの情報(国内キャンペーン、CM等)
  • 問い合わせフォーム(その言語で問い合わせを受け付けられない場合は英語フォームに誘導)

2. 多言語展開する言語数を見直す

翻訳する言語数が2倍になると翻訳費用も約2倍になるという関係になるため、展開する言語数も費用に直結してきます。展開言語を決めるためのポイントはいくつか考えられます。

地域だけではなくターゲットユーザから展開言語を選ぶ

例えばインドやフィリピンがターゲットに含まれる場合、ヒンディ語やタガログ語への翻訳は常に必要になるでしょうか?

想定するターゲットユーザがB2Bメーカー等のビジネスユーザであれば、それらの地域ではほぼ英語が通じるため、英語だけの展開でも十分効果が見込めると思います。

一方、現地で幅広い人にサービスを届ける形態のビジネスであれば、現地で広く使われている言語に翻訳する方が多くの人に届けることができると思います。

展開する言語を決める際には、地域だけではなく具体的なユーザ像をイメージし、費用とのバランスで検討することも有用です。

3. コンテンツによって展開言語を変える場合も

例えば製造業メーカーの海外向けコーポレートサイトの制作で、展開言語の候補が英語、ドイツ語、フランス語だとします。

ビジネスのニーズが多いのはドイツ語圏・フランス語圏なのだが欧州全体もターゲットなので英語を外すわけにはいかない。しかしサイト全体を3言語で展開するのは費用的に難しい。

こういう場合、コンテンツに優先度をつけて展開言語を検討する方法が考えられます。

優先度の高いコンテンツを多言語展開

自社製品の購入を検討する相手メーカーの設計者・担当者であれば、製品のスペック表や概要説明といった定型の情報は英語でも問題ない可能性が高いと思います。

自社の強みや他社との差別化ポイント、それを支える要素技術等に関するページを英語・ドイツ語・フランス語で展開し、そこで興味を持ってから閲覧する製品詳細ページは英語のみで展開する、という方法が考えられます。

ウェブサイトの訪問者はそのページに興味を持たなければ数秒で離脱してしまいます。まず自社の製品やサービスに興味を持ってもらう部分を優先的に多言語展開する考え方です。

製品詳細ページは数が多いことも多く、複数言語に翻訳すると費用も大きくなりがちです。「製品の仕様が変わる度に全言語の製品情報を更新する費用がかかる」ということもありますので、展開言語数を抑えることの効果も大きいです。

展開例: 200ページの日本語サイトをどう多言語展開するか

実際の案件では、上記のポイントを組み合わせて検討します。

例えば前述の製造業メーカーの日本語ウェブサイトが約200ページある場合、英語・ドイツ語・フランス語への展開例は下記のような内容が考えられます。

英語サイト 約100ページ 海外展開のない事業の製品ページ、採用情報、古いニュースを除外して約100ページに。そのうち約50ページが海外展開する製品詳細ページ
ドイツ語サイト 約30ページ 製品詳細ページは英語に誘導。IR情報も英語のみとし、それ以外のページ(強み、技術、会社情報等)をドイツ語に展開
フランス語サイト 約30ページ ドイツ語と同じページをフランス語に展開

適切な見直しで対象規模を約1/4に

200ページの日本語サイトをそのまま3言語に展開する想定だと600ページの規模になります。そこに適切な検討を加えることで、3言語合わせて160ページまで削減できました。

むやみに規模を縮小したわけではなく、ターゲット地域・ユーザ像・優先度の高いコンテンツを検討することで、多言語ウェブサイトの効果は維持しつつ制作費用を大きく削減することができます。

削減したコストで独自コンテンツを

これだけ削減できれば、そのコストを海外向けの独自コンテンツの制作に回せないか、という検討も可能になります。

ウェブサイトの多言語展開の本番はむしろここからで、ドイツ語圏、フランス語圏のニーズを踏まえた独自コンテンツを展開することができれば、現地での活動にもっと寄与できるようになると思います。

まとめ:ビジネスの役に立つウェブサイトであること

単に翻訳された外国語サイトではなく、実際にビジネスに貢献できるウェブサイトであることが重要だと思います。そのためにも多言語サイトのベース部分は賢く無駄なく検討し、より実践的でサイト訪問者にもお客様にもメリットのある海外向けウェブサイト制作をご提案していきたいと考えています。

この記事では多言語展開するページや言語という切り口で費用削減の方法を紹介しましたが、同じ翻訳分量でも翻訳管理システム(TMS)や過去の翻訳資産を活用することで翻訳費用を削減する方法もご提案しています。この点についてはまた別の記事で紹介できればと思います。

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WEBチーム:堤

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