2022年1月6日

当社ではインバウンド向けの韓国語翻訳を受注する機会が多く、社内にも韓国語ネイティブスタッフが常駐しています。韓国語は日本語と同じように主語、目的語、動詞の順番で文章が作られる、いわゆるSOV語順です。

他の言語にくらべて翻訳作業がスムーズに行えるのなどのメリットがある一方で、独特のルールも存在しているようで?!

韓国語翻訳について、韓国語ネイティブスタッフに話を聞きました。

日本語と同じSOV語順の韓国語は翻訳しやすい言語?

韓国語のハングルは、1443年に「訓民正音」が頒布されて歴史が始まった比較的新しい文字です。もともとは韓国も漢字文化圏でしたが、「どんな人にもわかりやすく習得しやすい文字を作る」という意図を持ってハングルが作られました。現在は、すべての文字がハングルで表記されるようになりましたが、今でも漢字教育は行われており、簡単な文字や氏名などを漢字で書く場合もあるようです。

韓国語翻訳は日本語からダイレクトに行われることが多い

通常の多言語翻訳では日本語から英語、さらに英語からそれぞれの言語に翻訳されます。韓国語は日本語と同じSOV語順のため、お客様からのご要望・ご指示がない限りは日本語から直接韓国語に翻訳します。他の言語にくらべて脱字などのチェックもしやすく、作業は比較的スムーズです。

「語順が同じなので、単語を入れ替えれば翻訳が完成するのでは?」と考えてしまいますが、実はそう簡単にはいかないようです。韓国語ネイティブスタッフによると、韓国語には独特のルールが存在していると言い、機械翻訳では誤訳につながるようなミスもたびたび起こります。

「My」と「Our」の所有格の使い方に戸惑う

韓国語では「私の」「私たちの」などの所有格の使い方が少しむずかしいかもしれません。「私たちの」という言葉の概念は広い意味で使用され、ほかの言語で「私の」と表現される場面においても「私たちの」を用いる場合も多々あります。たとえば、自分の父親を表現する場合、一人っ子であっても「私のお父さん」と言うよりは、「私たちのお父さん」と複数形にして表現するのが韓国語では自然なのだと言います。文法に規則性があるわけではないのですが、複数形を用いるのは共同体意識や所属感を強く意識する人が多いからではないか、と当社の韓国語ネイティブスタッフは分析しています。

日本語などほかの言語に翻訳する場合は、前後の文脈を見て内容を把握し、それぞれ言語のシチュエーションに合わせて「私の」または「私たちの」のどちらに翻訳するのか判断する必要があるのです。

半角スペースひとつで意味が変わってしまう?

ハングルでは、半角スペースの有無で言葉の意味が大きく変わってしまうこともあります。スペースひとつで真逆の意味になってしまったり、ネイティブでも間違った使い方をしたりしている人もいて、誤解を招いてしまうことは多々あります。たとえば、「今度いつかまた食事にでも行きましょう」という言葉の中の「今後(今度)いつか」に半角スペースが含まれているとこのような違いが出てきます。

例)
今度いつかまた食事にでも行きましょう
다음날 식사라도 하러 가요.

다음날:今度いつか(いつかわからない、今度)
다음 날:翌日

社交辞令で「今後(今度)いつか」と曖昧に言葉をにごしたつもりなのに、半角スペースがあることで「翌日」を表す言葉になってしまいます。「翌日にまた食事に行きましょう」と書いてしまったら、社交辞令ではなくなってしまいますよね。

ちなみに、「明日」という韓国語も存在しています。

誤用が拡大した結果、文法的に許容範囲となる事例も

間違った意味で使われている言葉が広く普及してしまった結果、そちらが一般的になってしまうということはどこの国の言語にも見られることです。韓国語にも半角スペースの誤用が文法的に認められるようになった、以下のような例があります。

例)
「してください」
「해 주세요」:原則
「해주세요」:許容

半角スペースが入ることで意味が正反対になってしまうものもあれば、意味は大きく変わらず許容範囲となるものも。こちらは意味が変わるわけではないので許容範囲となりました。

ハングルの中に漢字が併記されるのはどんな時?

文字はすべてハングルで表示される韓国で、新聞やチラシなどの媒体の一部では同音異義語などで意味の判別がむずかしい場合には漢字も併記されています。韓国語ネイティブスタッフが教えてくれた例文を見てみましょう。

例)
全工程:전(全) 공정 ←半角があれば全 なければ前、という意味になる。
前工程:전(前)공정

(全)の後に半角スペースがあれば「全」、なければ「前」となり、こちらも意味が大きく異なってしまいます。このように半角スペースは、韓国語にとって大きな意味を持っているのです。

外来語表記など韓国語のルールは?

韓国語で外来語を表記する場合はどのようなルールがあるのでしょうか。外来語の場合は、基本的にその国の言語の発音にできるだけ倣い、ハングルに置き換えられます。韓国語ネイティブスタッフによると、韓国語には音引き(ー)の概念が存在せず、例えば「スケジュール」という言葉であれば、「スケジュル」と翻訳されると言います。

日本語の言葉でも「大阪」「京都」など、長くのばすように発音するものも同じようになり、「おさか」「きょと」となります。

外来語はその国の発音にできるだけ倣う、というルールがありますが例外もあります。それは野球に関する言葉。野球はアメリカから日本へ、日本から韓国へと文化が伝わりました。そのため韓国では、野球用語に関しては日本語の発音から翻訳されているのです。「内野」は韓国語では「ねや(내야)」、「安打」は「あんた(안타)」などと表現されています。

言葉は刻々と変化していく。ネイティブスタッフによる品質管理は大切

韓国語は日本語と語順が同じ、ということはよく知られていますが、意外なルールもたくさんあり、韓国語ネイティブスタッフの話はとても興味深いものでした。

言葉は刻々と変化していくものです。当社では社内のネイティブスタッフが情報のアップデートに努めながら、現地の翻訳会社と連携してきめ細かなサポートを行っています。韓国語翻訳について、ホテルや百貨店、鉄道や地方自治体関連の業務など、あらゆるジャンルに精通する当社にご相談ください。