元ホテルマンが語る外国人接客のポイント
インバウンド消費に回復の兆しが見えてきた影響もあり、当社では、ホテルやレストランをはじめとするサービス業界より、英語・韓国語・中文簡体字・中文繁体字・タイ語・ベトナム語など、訪日観光客が多い国の言語の翻訳依頼が増えています。今回は、インバウンド対応に向けて、ホテルが押えておくべき外国人観光客受け入れ準備のポイントについて、元ホテルマンである弊社スタッフの生の声をもとに解説します。
インバウンドが回復?!
2022年10月11日に新型コロナウィルス感染症の水際対策が本格緩和され、11月の外国人観光客数は93.5万人と9月の20.7万人の約4.5倍、10月の49.9万人の約1.9倍に急増しています。また、地域別では、韓国・米国・香港・台湾・タイの順に多く、今後は東南アジアや欧米豪、中東の各市場でも順調な回復が見られるといわれています。
インバウンド受け入れに向けてホテルがすべき準備とは?
インバウンドが回復傾向にある中、ホテルの受け入れ体制準備は急務です。しかし、何から始めればいいのかわからないという方も多いでしょう。そんな方に向けて、元ホテルマンに聞いた“これは準備しておきたいこと”を以下にまとめました。
チェックイン時の説明が、顧客満足につながる!
まず、外国人観光客の方々にとって、当然のことながら日本の言葉や文化、マナーやルールは慣れ親しんだものではないでしょう。そのような中で、どのようなお客様にとっても快適な滞在をしていただくためにも、チェックイン時にきちんと館内利用について説明する必要があります。それらを充実させることはまた、同じ施設を利用する日本人観光客の方にとっても、安心した滞在になることでしょう。
チェックイン時に案内する内容とは
では、どのような内容の案内をチェックイン時に用意しておくと良いのでしょうか。まずは以下の3点について、各国の言葉に翻訳した案内用紙やPOPなどで説明できるようにしましょう。
- チェックイン/チェックアウトの方法について
- 館内設備について(食事やレストラン/大浴場など)
- 支払い方法やご利用内容の確認
大浴場などは慣れない外国人観光客も多いため、事前に入浴マナー等を丁寧に説明すると、本人だけでなく共同利用されるお客様にとっても快適な滞在となることでしょう。外国語を話せるスタッフが少ないと口頭での説明が難しくなるため、多言語でのデジタルサイネージや配布する案内文などがあればスタッフの対応にも役立ちます。
プラスアルファで用意しておくと喜ばれる案内
外国人観光客からよく聞かれる内容が以下の2つです。案内コンテンツとして多言語版を準備しておくととても便利です。実は英語圏出身ではない外国人観光客は英語が通じないことが多いので、訪日客の多い国の優先順に複数の言語で用意するのがよいでしょう。
- 周辺の飲食、観光、アクティビティの案内やマップ
- 空港までの交通手段やバスマップ等
ただし、外国人の宿泊客へ周辺のお店を紹介したところ、紹介先のお店から実は外国人客の受け入れを遠慮している等の連絡がホテルに入ることもあるので、事前にコンセンサスをとるなどの根回しもポイントとなります。一方で、紹介したお店やお客様が行かれたお店の感想をいただいた際は、以降の案内のために控えておくと便利です。
また、レストランでは宗教上の理由やヴィーガン、アレルギーの有無により召し上がる食材が限定的な方からのご要望や質問も度々いただくため、原材料名を掲示しておくと親切です。
外国人観光客への対応で大切なこと
外国人観光客の方々は気さくでフランクな方が多い傾向がありますが、それは同時に主張が強いという特徴があるともいえます。そのようなお客様への対応として大切なのが何よりも“柔軟性”です。
できるかぎり希望に添えるよう対応するのが第一ですが、要求をすべて受け入れるわけにはいかないので、失礼のない断り方や謝り方などの表現の引き出しを持っておくとより円滑なコミュニケーションや接客につながるでしょう。
英語が苦手でも大丈夫!知っていると役立つ英会話の基本姿勢とは
元ホテルマンから、知っておくとみるみる会話が楽しくなる英会話の基本姿勢を教えてもらいましたので、ご参考にしてください。
例えば、外国人のお客様は、「We went to 〇〇 yesterday. It was very awesome! And we~~~(昨日は〇〇に行ってすごくよかった!それで、~~~)」等、一日の出来事を話すことがよくあります。
しかし、英語が苦手なスタッフですと愛想笑いや「OK(そうなんだ)」のような簡素な対応になって終わっている場面をよく見かけます。
なんと返していいのかわからない、簡単な英語しかできないから話が膨らむと困ると考えてしまうかもしれません。
しかし、初めから苦手意識を持つのでなく、相手がどんな話をしているのか聞き取れた単語から話を想像し「That’s great. 〇〇 is very famous for Japanese too.(それは良かったです。〇〇は日本人にも人気です。)」というように、相槌だけでなく短い文でも簡単な何かを言って相手の話に合わせる姿勢が大切です。
また、そのような姿勢を続けることでリスニング力やスピーキング力も徐々に上がり、話を聞く余裕も生まれるので、“外国のお客様だから”と構えるのではなく、できる限り国内のお客様と接するのと同じような対応を意識するとリラックスして対応ができるようになります。
まとめ
今後、増加傾向にみられるインバウンド需要に乗り遅れないよう、外国人観光客の受け入れについて今から準備をしておくことは重要です。まず始められることとして、チェックイン時の案内や館内掲示などの多言語化がおすすめです。idaではホテル・レストランの基本情報をはじめ、清掃案内文やお客様アンケート等の翻訳実績もあります。また、翻訳だけでなく翻訳言語数のご相談や、訳文のネイティブチェックも行なっております。一部ですが、弊社の実績を掲載しておりますので、こちらもご覧ください。どのようなお客様にも快適なホテルでの滞在、ひいては日本での滞在を堪能してもらえるための準備を進めていきましょう。
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