更新日:2023年6月5日
公開日:2023年5月17日

中国語翻訳の基礎知識として、中国語にはどんな種類があるのか、お客様からよくいただく質問を元にまとめてみました。

中国語には種類がある?

以下はお客様とのよくあるやり取りです。

お客様中国語に翻訳をお願いします。

ida簡体字繁体字のどちらへの翻訳をご希望でしょうか?

お客様わからないのですが、どう違うんですか?

ida中国大陸に住む中国人向けであれば簡体字、台湾向けであれば繁体字になります。

お客様…よくわからないのですが、通常はどちらの翻訳が多いんですか?

idaどちらが多いかではなく、お客様のビジネスにとってどちらが必要かで決めるのがよいと思います。御社の製品は中国本土と台湾のどちらにも展開されていますか?

お客様いえ、台湾には展開していないですね…。では、中国本土向けの簡体字でお願いします。

上記のとおり、中国大陸向けであれば簡体字を選択します。
訪日外国人向けのインバウンド対策など、必要に応じて簡体字と繁体字どちらにも翻訳することも多いです。
(もっと細かく言えば香港向けの繁体字も手配可能ですが、上のやり取り例では省略しています。)

主な中国語の区別

下の表に主な中国語の区別をまとめました。

ターゲット地域 中国大陸 台湾 香港・マカオ
対応する中国語の種類 簡体字(大陸向け) 繁体字(台湾向け) 繁体字(香港向け)
使用人口 約14億人 約2,357万人 約810万人

繁体字にも種類がある?

表にあるように、繁体字にも大きく分けて台湾向けと香港向けがあります。どちらの地域向けのコンテンツかが明確であれば、いずれかを選びます。どちらもターゲット地域だけど、どちらにも翻訳したほうがいいのかとご質問いただくこともあります。やはり翻訳・ローカライズの基本は、ターゲットユーザーにとって読みやすい表現で伝えることです。答えは「台湾向け繁体字も香港向け繁体字もあったほうがいい」です。特に香港向けではない場合は、使用人口の多い台湾向けを選びましょう。

簡体字と繁体字、どちらか一つで兼用できる?

どちらの翻訳もあったほうがいいということはわかりながらも、簡体字・繁体字のどちらかで兼用できないか?というご質問をいただくこともしばしばあります。

残念ながら、答えは「NO」です。

繁体字使用者が簡体字を読めるか、また簡体字使用者が繁体字を読めるのかは、人によります。ある程度理解できる人もいれば、全く読めないという人もいます。読める場合も、何の問題もなく理解できるわけではなく、これまで簡体字、あるいは繁体字に触れてきた経験などにより、理解できる度合いが異なるというイメージです。

台湾や香港の人にとって、簡体字は繁体字を簡略化したものなので、形から想像がつく文字もあれば、画数が少なすぎて原型をとどめなくてわからない文字もあります。ところどころわからない漢字があるため、その部分は文脈から内容を推測しながら読むようなイメージです。

中国では、1955年以降「文字改革」政策として漢字の簡略化を進めてきたため、日本の高校にあたる普通高級中学に進学しないと繁体字(古典)を学習しません。義務教育で繁体字を学ばないため、書道や古典に触れない限り、繁体字を使う必要がありません。高等教育に進んだ人なら分かる人も多いと思いますが、やはり読めない文字があります。

読めたとしても、種類の異なる中国語は自分向けに書かれたものではないと感じてしまうようですし、簡体字に否定的な感情を持つ人もいるようなので、特に台湾・香港向けに簡体字を使ったマーケティングは避けたほうがよいでしょう。

簡体字・繁体字、どちらかを選ぶとすれば?

中国本土も台湾もビジネスにとって重要だが、予算などの都合でまずは1言語にしか翻訳できないというケースもあるかと思います。そのときはアプローチできる人口が多いという観点から、まずは簡体字から着手されるのもひとつです。

 

香港向けと台湾向け繁体字ってそんなに違うの?香港の人は台湾向け繁体字を読んだらわかるの?と疑問と思われた方、こちらの記事「台湾と香港の言葉の違い」もどうぞ。

北京語や広東語に翻訳したいんだけどどうしたらいいの?という方はこちらの記事「北京語や広東語は翻訳できる? ~中国語翻訳の注文の仕方」もご覧ください。

 

Webチーム:髙道