更新日:2022年11月9日
公開日:2020年6月4日

今回のコロナ禍でアイ・ディー・エーもほぼすべての従業員を対象にリモート勤務(在宅勤務)に移行しました。
従業員50数名の中小企業が実際にテレワークへの移行を行って感じたポイントを事例として書き残してみます。

テレワーク移行前の環境

  • 従業員数:54名
  • 全員がパソコンを使って業務を行っている
  • 営業担当やディレクター等、外出の多い者はデスクトップPCの他にノートPCを支給されている

ワンフロアに約50人が集っている点がやや「密」な気もしますが、一般的なオフィス環境と比べて極端に特殊な環境ではないかと思います。

テレワーク移行の状況

  • 3/18 時差出勤開始
  • 3/30 全社的にテレワークの移行を開始
  • 4/14 ほぼ全員がテレワーク環境に移行

昨今の働き方改革の影響もあって以前からテレワークの導入は検討してはいたものの、今回のコロナ禍によって事前の検討とは全く違うスピード感で具体的な導入を進めることになりました。

結果的に3/30の移行開始から約2週間でほぼ全員がテレワーク環境に移行しています。4/7の緊急事態宣言のときには半数以上がテレワーク環境に移行しており、事前に考えていたより早く移行できたと感じています。世の中全体が文字通りの緊急事態だったとはいえ、やればできるものなんだと実感しました。また、いくつかスムーズに進められたポイントがいくつかあったように思います。

テレワークへの移行が比較的スムーズに進んだポイント

1) 経営層の危機意識が高く、トップダウンで進められた

社長のトッドが、英語圏のニュースで欧米での感染拡大状況を把握していたこともあり、経営層のコロナウイルスに対する危機意識が高く、早い段階からトップダウンで対応を進められたということは大きかったと思います。

国内の感染がまだ少ない段階から、ミーティングの度に社長自ら「日本の危機意識は低い」「長時間の通勤電車移動などは本当にリスクが高い」のように発信し、それに押されるように時差通勤やテレワーク導入を進めたという面がありました。

トップの方針にブレがないため、各マネージャーやメンバーは具体的な課題解決やタスクを進めることに注力でき、短期間で完全テレワーク環境に移行できたと感じています。

2) ソフトウェア / ハードウェアの両面でリモート勤務しやすい環境が揃っていた

ネットワークやコミュニケーションツールなどの面で、一定の条件が整っていたことも大きかったと思います。
様々な要素があるのですが、3つ挙げるとすると下記のポイントになるかと思います。

  • 全社的な業務管理システムを導入・運用していた
  • ネットワーク機器の追加導入が必要なかった
  • 社内/社外とのコミュニケーションツールを導入していた

全社的な業務管理システムを導入・運用していた

数年前に社内の業務管理を、翻訳業界に特化したブラウザベースの業務管理システムに切り替えていました。導入には業務フローの見直しや、システムに業務を合わせるような苦労も多かったのですが、業務管理システムに接続できれば従業員はそれぞれの業務を進められる、という環境が整っていました。

ネットワーク機器の追加導入が必要なかった

その業務システムに接続するために必要になるVPN/FWについて。従業員54名に対して最大100のVPN接続可能な機器を導入していたため、物理的なネットワーク機器の入れ替えなしで移行を進めることができました。あの状況の中でハードウェアの入れ替えが必要になっていたとしたら、この期間での移行は難しかったと思います。

社内/社外とのコミュニケーションツールを導入していた

昨年(2019年)Office365の環境に移行し、社内コミュニケーションに Microsoft Teams を利用していたことも幸いでした。

テレワークへの移行期間中も出社/リモートにかかわらずコミュニケーションをとることができ、音声/ビデオチャットもいつも使用しているTeamsでそのまま利用できたため、混乱は少なかったと思います。
こうしたツールの選定や導入、使用方法の周知などをゼロから行うことを考えると、相当な時間の節約になったと思います。

3) 全従業員が協力して緊急事態に対応できたこと

通常業務をこなしながら、すべてがそろったオフィスから個々の自宅へ業務環境を短期間で移すというのは、コロナ禍以前なら「それは無理では」となるようなハードルの高さだったと思います。

  • 短期間の移行スケジュールを取りまとめ実施管理を担当する者
  • テレワークで使用するパソコンを届けるための煩雑な手配業務を引き受ける者
  • 技術面、セキュリティ面で課題の解決にあたる者
  • トラブル・サポート対応にあたる者
  • 自家用車を出して他の従業員の分までパソコンを運ぶ者
  • 出社が必要になる業務を引き受ける者
  • 緊急事態対応に時間が取られる者の業務をカバーする者

各従業員がそれぞれの力を活かして協力することで実現できた、ということは言えるのではないかと思います。

これからの取り組み

そして5月25日の政府の緊急事態宣言解除を受けて、弊社でも今後の対応について告知しました
当面の間はテレワーク体制を継続しつつ、必要に応じて段階的に出社人数、出社機会を拡大していくこととしています。
テレワーク環境でも従来通り電話連絡が可能になるリモート内線システムの導入も完了していますので、コミュニケーション面は従来と変わらない環境を構築することができました。

今後も感染状況を注意深く見守りながら対応していくことに変わりはありません。一斉に元の状況に戻すのではなく、社内に「三密」の状況をつくらないよう座席の間隔なども考慮し、出勤とテレワークのバランスも調整することになると思います。