在留外国人のために翻訳すべき16言語とは

2023.09.15

近年の日本は、在留外国人の人口が増加傾向にあり、2022年末時点における在留外国人数は307万5,213人(前年末比31万4,578人、11.4%増加)を記録しました。300万人を超えたのは今回が初めてで、過去最高を更新しました。この傾向は今後も続き、在留外国人はますます増加するものと見られています。

今回の記事では、急増する在留外国人に対して、施設やサービスがどのような準備をすべきかについて、弊社の実績を交えてご紹介します。

在留外国人にまつわる翻訳ニーズ

日本に住む外国人が増え、その国籍も多様化する背景から、出入国在留管理庁と文化庁の主導のもとで「やさしい日本語」のガイドラインが作成されました。「やさしい日本語」とは、我々が普段使用している言葉を、外国人でも理解しやすいように書き換えた簡単な日本語のことです。しかしながら、文化庁の調べによると「やさしい日本語」に対する国民の認知度は3割程度と低く、普及には外国人の日本語力だけでなく、情報提供する側の理解不足も障害となっているようです。このため、公共性や専門性が求められる情報については、在留外国人それぞれの母国語で準備することが重要といえます。

主要言語と現状

日本に在留する外国人はどの国から来ていて、どのような情報を求めているのでしょうか。行政が発表する情報と併せて見てみましょう。

在留外国人の出身地と母国語

出入国在留管理庁によると、2022年末時点における国籍・地域別の在留外国人は下記のとおりでした。

在留外国人の国籍・地域、公用語、人数(2022年末時点)

国籍・地域 公用語 人数
中国 中国語簡体字 761,563人
ベトナム ベトナム語 489,312人
韓国 韓国語 411,312人
フィリピン タガログ語・英語 298,740人
ブラジル ポルトガル語 209,430人
ネパール ネパール語 139,393人
インドネシア インドネシア語 98,865人
米国 英語 60,804人
台湾 中国語繁体字 57,294人
タイ タイ語 56,701人
その他 その他 491,799人

出典:https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00033.html
その他の中には、ペルー(スペイン語)、インド(ヒンディー語等)、ミャンマー(ミャンマー語)、スリランカ(シンハラ語、タミル語)、バングラデシュ(ベンガル語)、カンボジア(クメール語)などが含まれます。

在留外国人の要望と現状

上述のとおり、現在の日本には、さまざまな国と地域から来た外国人が住んでおり、日本人と平等にサービスや情報を提供される必要があります。
しかしながら、再び出入国在留管理庁の基礎調査によると、公的機関が発信する情報入手に関する困りごとにおいては、「多言語での情報発信が少なかった(20.4%)」が最も多く、年々改善されつつありますが、言語に関する困りごとがまだまだ多いのが現状のようです。
たとえば、社会活動に参加したい外国人の中の約半数が「どのような活動が行われているか知らない」と回答しており、伝わる形での情報提供が課題となっていることが伺えます。

その他にも母国語で多言語対応を希望するものには、以下のようなものがあげられています。

  • 駅、市役所の案内図
  • 役所へ提出する書類
  • 病院の案内やスタッフの対応言語など

出典:https://www.moj.go.jp/isa/content/001402002.pdf

多言語を網羅した情報提供の重要性

外国人へ正確な情報を伝えることは、受け手の外国人だけでなく、同じ地域や社会で共存する日本人にとっても欠かせないことです。
たとえば、ゴミ出しの日や方法に関する情報は、理解不足があると近隣住民とのトラブルになりやすく、正しく伝えることが非常に重要です。事実、ゴミの出し方は弊社への翻訳依頼も多く、英語はもちろん、その地域に住む外国人の母国語すべてを用意することがほとんどです。
行政や自治体以外の外国人を雇用する企業についても同様で、外国人労働者の受け入れは労働力が確保できる一方、国や文化の違いなどにより、さまざまなトラブルが起こりやすいことも事実です。お互いが気持ちよく過ごすためにも、情報は多言語で準備することが理想です。

推奨される多言語とは

それでは、どのような言語を準備すればよいかということですが、それはその地域に住む、もしくはその企業で働く外国人の出身地によって変わってきます。英語は必須として、出身地が多岐にわたるのであれば、出入国在留管理庁発表の上位国の言語を準備すると安心でしょう。具体的に弊社では、後述の言語を翻訳するケースが増えています。

弊社の実績

実際にどのような案件で、どの言語を翻訳したかについて少しご紹介します。媒体によって言語数は異なりますが、行政機関や自治体では、1つめの例のような16言語をセットで依頼されるケースが多くなっています。これらはやはり先述の統計結果と一致しています。

■依頼元
行政機関

■依頼内容
子育て世帯支援の給付金に関する案内

■翻訳言語
英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、タガログ語、ミャンマー語、ネパール語、モンゴル語、クメール語、スペイン語(南米)、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、ウクライナ語

■依頼元
金融機関

■依頼内容
口座開設の申し込み方法に関する案内

■翻訳言語
英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、タガログ語、ミャンマー語、ネパール語、クメール語、シンハラ語、スペイン語、ポルトガル語(ブラジル)、フランス語

■依頼元
教育機関

■依頼内容
中学校における多文化状況に関する調査

■翻訳言語
中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、タイ語、ベトナム語、タガログ語、ミャンマー語、ネパール語、スペイン語(南米)、ポルトガル語(ブラジル)、シンハラ語、タミル語、パンジャブ語、ペルシア語、モンゴル語、ウルドゥー語

■依頼元
マンション修繕会社

■依頼内容
住民向け工事説明資料

■翻訳言語
英語、中国語簡体字、韓国語

人手翻訳と機械翻訳

近年、機械翻訳の精度が発達しており、情報発信に活用されるケースが増えてきています。速報性が求められるものは機械翻訳が便利で、各機関や企業での導入も徐々に進んでいるようです。弊社においても、機械翻訳を活用したサービスを提供しており、特に大ボリューム、短納期の翻訳時にはコストメリットを発揮し、お客様にも喜んでいただいています。

一方で、機械翻訳にはまだまだ課題もあるようです。速報性が求められるものに便利と述べましたが、災害情報の発信で機械翻訳が使用され、危険な地域へ誘導するような誤訳となり、逆に混乱を招いてしまった事例もあるようです。技術が発達してきたとはいえ、使い方には吟味が必要なのかもしれません。
特に印刷物として配布したり、Webサイトに掲載して広く周知したりするものは、しっかりとしたプロの翻訳者による翻訳で対応するか、機械翻訳を利用したとしても、内容に問題がないかを各言語のネイティブが確認するフローを取り入れることが安心でしょう。

まとめ

今回は、増加する在留外国人に備えるための翻訳ニーズについて、行政発表のデータと弊社の事例を交えて解説しました。
アイ・ディー・エーでは世界中のネットワークを駆使して80言語以上の翻訳対応が可能です。また、翻訳サービス以外にも、Webサイトから印刷物まで幅広い媒体に対応できる制作体制で、お客様のビジネスや活動をサポートしております。お困りのことがございましたらぜひご相談ください。