制作実績
記念誌の翻訳・DTP、PDFアクセシビリティ対応
立命館大学様
全国視覚障害教師の会(JVT)様が、2021年に発足40周年を迎え、会の活動を広く伝えるための40周年記念誌「TOGETHER」を制作されました。障害のある教師の研究をされている立命館大学衣笠総合研究機構 中村雅也博士より、記念誌の繁体字中国語版の制作をご依頼いただき、繁体字翻訳とDTP、ローカライズ作業に加え、PDFのアクセシビリティ対応を行いました。
全国視覚障害教師の会様は、1981年に大阪で視覚に障害がありながら教壇に立つ教師や学生などが集まり結成されました。視覚障害教師に対する理解を広め、授業や職場環境の改善を目指して、情報交換や研修を重ねられています。
翻訳(日本語→繁体字中国語)
InDesignデータ作成/繁体字ローカライズ
PDFアクセシビリティ対応
参考:
視覚障害のある教員「私たちはこう働く」当事者団体が40周年記念誌
https://www.kyoiku-press.com/post-250818/
「全国視覚障害教師の会」発足40年にあたっての記念誌
全国視覚障害教師の会様は、「視覚障害のある教員同士、また視覚障害のある教員と周囲の人々が一緒に助け合っていこう」というテーマで活動をされています。記念誌では、会の紹介や、合理的配慮の説明のほか、事例として12名の教員の実践を取り上げています。また、教員ごとにQRを配置して、最新の取り組みがWebサイトで見られるような工夫をされています。こうして多くの事例を取り上げることが、視覚障害のある教員、教員志望の人たちの参考になり、励みになるものと思います。
日本語版はPDFしかなかったため、まず日本語版のデータを再現し、繁体字ローカライズを行いました。この記念誌がPDF形式で配布された際、視覚障害のある方が利用される可能性が高いと考え、アイ・ディー・エーからは、PDFの読み上げ対応をご提案させていただきました。
アクセシビリティに対応した PDF の作成のポイント
PDFは、Acrobat Readerなどの読み上げ機能を使ったり、PC TalkerなどのスクリーンリーダーでAcrobatとの連携をすれば、読むこと自体は可能です。ただ、正しい手順でPDFが制作されていないと、読み上げられない箇所があったり、正しい順序で読み上げられなかったりします。
PDFの読み上げを含むアクセシビリティ対応は、文書の先頭から終わりまで、情報を線状に並べて、適切にタグ付けをする「構造化」の作業です。それにより文書を正しく読み上げたり、キーボード操作でドキュメント内を移動できるようになります。ドキュメントの持つ構造データをPDFに反映するには、アクセシビリティがサポートされているソフトウェアを使って制作を行う必要があります。今回は、Adobe InDesignとAcrobat Proで制作しました。
InDesignでドキュメントの構造化を行った後に、Acrobat Proでしかできないいくつかの工程を実施し、アクセシビリティチェックを使って、検証を行います。その他多くのWebアクセシビリティチェッカーと同様、チェック機能をつかって機械的にチェックできるのは多くのチェック項目の一部にとどまるため、人の目で確認して仕上げました。また、最終的には中国語繁体字のネイティブによる音声読み上げチェックを行い、現地でも確実に伝わる品質になっていることを確認しました。
より注力する分野として
PDFを含むWebアクセシビリティは、社会的な要求やソフトウェアメーカーの提供するアクセシビリティ機能の向上などもあり、ますます対応が望まれる分野です。アイ・ディー・エーでは、誰もが平等に情報にアクセスできる社会の実現に向けて、アクセシビリティ対応に関するサービスを拡充していきます。
※PDFのウェブアクセシビリティは元のデータのあり方によってはかなり時間を要する場合があります。複雑なレイアウトのものや、Illustratorなどの構造化ができないソフトウェアで作成されたドキュメントの場合は、HTML化、またはその他の手法をご提案することがあります。
お客様の声
アイ・ディー・エーにご依頼いただいた決め手についてお聞かせください。
情報保障の社会的意義を認識しており、スクリーンリーダーに関する知識を持っていた。
担当者の対応、印象はいかがでしたか。
全国視覚障害教師の会の活動にも関心を示し、翻訳記念誌がよりよいものになるよう提案してくれた。
納品物の仕上がりはいかがでしたか。
PDFはソーシャルメディアで台湾の視覚障害教師、および中国語圏の研究者に広く配信し、好評を得た。また、印刷物を台湾で開催された国際セミナーで配布し、関心が広まった。